二月初日

高校に再入学して2年目。やっとこの生活にも慣れてきた。

これまで悔いなく人生を歩んできたつもりだったけど、ふと、本当は行きたい大学があったことを思い出し、それならばいっそと、高校の授業から受け直すことにした。我ながら思い切った決断をしたものだ。理解を示してくれた家族には、感謝しかない。

この日も、授業がのんびりと進んでいた。仲の良い友達はまだいないが、教室の風景をみるたびに、別の高校に通っていた昔を思い出す。無機質でつまらない毎日だった。大学受験はただの口実で、本当にやり直したかったのは、あの頃経験できなかった青春なのかもしれない。

あれ、でも収入もないのに、生活はどうしてるんだっけ。会社は、長期休暇だっけ。そもそも、行きたい大学なんてあったっけ。受験なんて二度と御免だと考えていたのに。一体なぜこんな生活をしているんだ。

…という疑問が無数に浮かんだところで、がらがらと世界が崩れて夢から覚めた。どうやら、目覚まし時計を止めてから少しだけ二度寝してしまったらしい。ほんの数分の間にみた夢だった。

いつもファンタジーじみた夢しかみないし起きると大抵忘れているのだけど、久々にちゃんとした世界の夢をみたので何となく忘れる前に書き留めておこうと思った。まあ普通は、高校に再入学してるあたりから、違和感を持つべきなのだろうけど。

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