祖母の誕生日

祖母の入院する病院に、お見舞いに行った。祖母は初期の腎臓癌を患って、一週間前から入院していた。手術は既に終えていて、経過は順調のようだった。今日、抜糸も終えたらしい。

最近の手術は全然切開しなのだと、祖母は少し興奮気味に話した。腹部の白い包帯が痛々しかったが、特に痛みがあるわけでもないようでとても元気そうだった。むしろ病院にいるのが退屈で、早く家に帰りたいと何度も口にしていた。清潔で何でも揃っている病院より、家のこたつで横になりながらワイドショーを観ているほうが居心地が良い、そのほうが病気も治る、と。

一時間以上話したけど、大半は私の結婚のことだった。今の生活は順調か、次はどんなイベントがあるのか、結婚式は挙げるのか、相手のご家族はどんな人か、など。どんな話題でもそうだが、祖母は決して否定するような言葉を使わない。私も相手も結婚式を挙げたがる性格ではなく、周囲の期待に反して消極的であることを話しても、「本人たちの好きなようにするのが一番」と背中を押してくれる。自分が病気で入院しているような状況でも、穏やかな顔で「結婚できてほんと良かった」と何度も言ってくれた。

次に同じような病気がになっても、もう治療はしたくないと祖母は言った。これ以上生き続けるのは、しんどいと。とはいえ、傍から見たら、頭の回転は早いし、まだまだ足腰もしっかりしている。入院だって今回が人生初めてだと言っていたし、風邪を引いている姿すらみたことがないくらい、身体も丈夫そうだ。でも、もういつ死んでもいいという。私は、祖母が周囲を悲しませないために生きているような気がして、こんなに元気なんだから100歳までいけるでしょと声をかけつつ、内心は、祖母の好きなように生きてほしいと思った。

今日は、偶然にも祖母の83回目の誕生日だった。

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