会社の将棋イベントで「百折不撓」木村王位と対局してきた

昨日は会社の将棋イベントがあった。普段は画面越しでしか見ないプロ棋士の方々と、指導対局などを通じて交流できる貴重な機会とあって、小雨の降るなか本社ビルまで行ってきた。

背景とか:お目当ては木村王位

実は参加するのは6年ぶり2回目で、前回は会社の先輩に誘われるがまま、わけもわからず付いて行ったのを覚えている。

でも、その際に初めてお会いした木村八段(当時)のユーモラスな解説や人柄にとても感銘を受けて、それからゲームとしての将棋だけでなく、プロ棋士の世界(将棋界)にも興味を持つようになった。

その木村先生が今年、史上最年長で初タイトル「王位」を獲得するという快挙を成し遂げた。しかも今回の将棋イベントにもお越しになると聞いて、そりゃもう行くしかないでしょ、となったわけ。

タイムテーブル

イベントはなかなかの過密スケジュール。

指導対局のほか、模範対局、詰将棋の早解きなど、ほぼ休憩なしで進んでいく。

この日は大人子どもあわせて30~40人くらいが集まっていた。主催者の将棋部の方曰く、過去最高の申し込み数だったとのこと。

お越しいただいた先生方

今回お越しいただいた先生は4名。

  • 木村一基王位
  • 片上大輔七段
  • 谷口由紀女流二段
  • カロリーナ・ステチェンスカ女流1級

カロリーナ先生以外はこのイベントへの参加が初めてではない様子。こんな将棋とは無縁の会社に毎年足を運んでいただけるとは、ほんと嬉しい限りです。

開会式では、木村先生に就位祝いの花束が贈呈される一幕も。(ピンぼけ…)

模範対局

模範対局は、先生同士の生対局を大判解説付きで観戦するという、なんとも贅沢な企画。

こちらは女流棋士同士の一局。

序盤、木村先生が「お二人は振り飛車党で~」と対局中の二人にも聞こえる声で紹介したためか両者なかなか振らず、「え、なんで?」と惚ける姿に会場爆笑。(上の写真はカロリーナ先生が振った後の盤面)

また、クイズ・ミリオネア風にライフライン(先生へのテレフォン、観客の一手、AIの一手)を使うという変わったルールもあり、会場は大いに盛り上がった。

こちらは木村先生と片上先生の一局。ちなみに、片上先生からみてカロリーナ先生は直弟子、谷口先生は妹弟子とのことで、弟子繋がりならではの掛け合いが印象的だった。

対局中の両先生。イベント対局とはいえ、お二人とも終始真剣な表情で迫力がありました。

指導対局

さて、この日一番楽しみにしていた指導対局はというと。

くじ引きの結果、見事、念願の木村先生と打てることに。

もちろん、平手だと秒で終わってしまうので(大袈裟ではなくマジで)、今回は6枚落ちのハンデで対局。対する木村先生は、私含めて8人と同時に指すという異様な光景。ここまでしてようやく勝負になるという…やはりプロ棋士はすごい。

45分間という時間制限の中で、とにかく途中で終わらないように、最後まで粘ることだけを意識して指した。

先生の話を真剣に聞き入る私と、わざわざ腰を落として説明してくれる木村先生

結果は、時間切れで引き分け。

でも途中で先生から「もっと良い手があるよ」「それは非効率な攻めだねえ」などと何度もアドバイスをいただいて、時には「待った」も認めてもらった上での結果なので、ほぼ負けな気がする。

また、終局後の感想戦でも、ハンデ対局の経験が乏しいことを察してか「6枚落ちならこういう攻めもあるよ」と指導してくださった。実際、そのアドバイスを活かしたところ、午後の片上先生との対局では見事勝つことができた。

そもそも、なぜ同時に複数人を相手にしておいて、「あの局面では~」などと振り返れるのか。やはりプロ棋士はすごい。(2回目)

イベント終了後

閉会式後の帰り際、ほぼこの日のために購入したと言っても過言ではない木村先生の本「木村一基の初級者でもわかる受けの基本」にサインをお願いしたところ、快く引き受けてくださった。

お疲れのところサインを快諾してくれた先生。お名前と、本のタイトルにちなんで「受」の一文字を書いてくださいました。感謝。

最後に、改めまして、王位就位おめでとうございますとお伝えしたら、「ありがとうございます」と笑顔で返してくれたのは忘れません。

さいごに

他にも、模範対局で「次の一手」を3問全て当てることができたり、その賞品で片上先生のサイン入り本をいただくなど、密度の濃い充実した一日だった。

木村王位の魅力を伝えようとするとさらに倍くらいの文章量になってしまうので、また別の機会にしたいと思うけど、まさにこの「百折不撓」という揮毫を体現している棋士で、その歩みには尊敬の念しかない。

まさに百折不撓 棋士と記者が見た“将棋の強いおじさん”木村一基新王位46歳の素顔 | 観る将棋、読む将棋 | 文春オンライン
これほど「悲願」という言葉がふさわしい状況もないだろう。9月26日、プロ棋士の木村一基九段が第60期王位戦七番勝負第7局で豊島将之王位を破り、自身の初タイトルとなる王位を獲得した。46歳3ヵ月での初…

今回、数年ぶりにお会いできて、また自分の言葉でお祝いの言葉を伝えられて、とても嬉しかった。この将棋イベントは毎年同じ時期に開催されているようなので、ぜひまた来年も参加したいと思う。

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